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2024.09.16

「裏金国家からの脱却」、日本経済の衰退の原因

9月8日(日)戸塚公会堂にて経済学者の金子勝先生を講師に第6回山崎誠政策研究所シンポジウムを開催しました。早くからアベノミクスの問題点を指摘しておられた金子先生ですが、先生の予言していたことが日本経済の混乱として現実のものになってきました。株価の乱高下、コントロールが効かない為替相場、上げられない長期金利、日本経済は出口の見えない迷路に入ってしまっています。

裏金政治の根本的問題

 裏金政治はそれ自体、法的にも倫理的にも問題ですが、それ以上に、政治に流れるお金が国、地方の政策をゆがめるという意味で大きな構造的問題をはらんでいます。

 例えば、経団連は毎年24億円自民党側に寄付して、政策をカネで買っているように見えます。古い体質、既得権を守るために政治力が使われる。それが産業政策をゆがめ、産業の健全な新陳代謝を阻害しています。防衛費倍増による武器輸出、原発の40年を超える運転再稼働、4桁暗証番号の古臭いプラスチックのマイナンバーカード、石油元売り企業や電力大手向けのエネルギー補助金などがそれにあたると金子先生は指摘しています。

2015年から始まる裏金体質

 講演で金子先生は安倍政権下の2015年体制が裏金問題を生んだと指摘、閣議決定による集団的自衛権の容認、日銀総裁・NHK会長・内閣法制局長官人事への介入、政治献金・天下りの復活などが裏金体質に繋がっている分析されています。

 さらに、財政においても後年度負担、予備費の膨張、基金の乱立などにより財政民主主義が壊され、防衛費の膨張を許すことになっています。

世襲政治が地方をむしばむ

 金子先生は裏金問題を世襲議員にからめて「『裏金』がばらまかれ世襲議員を軸にして生まれた地域政治の独占は、言論を封殺し、日本社会を縁故主義による仲間内資本主義に染め上げてきました。・・・それは限りなく日本経済を衰退させていきますが、衰退すればするほど、地域の政治支配は強化されていく仕組みです。この仕組みを壊さない限り、日本は滅びていくでしょう」と指摘しています。

 日本の復活のためにはこうした縁故主義、仲間内資本主義の維持装置である企業や団体からの政治献金、裏金からの脱却が不可欠です。「まっとうな政治」を取り戻すために政権交代がどうしても必要です。

Update1  日本は貿易赤字国へ、貿易立国は過去の話

22年度の貿易赤字は21.7兆円と過去最大を記録。デジタル分野で新たな貿易赤字が広がっています。日本は先端的な工業製品の輸出で稼いだ外貨で、原材料や食料を輸入する加工貿易の国であるとされてきましたが、過去の話。裏金政治が日本の産業、経済の衰退を招いています。

Update2 日本のエネルギー自給率は13%、毎年30兆円の国富が流出する

日本のエネルギー自給率は13%(2021年度)、過去10年、10%前後の数字で推移しています。化石燃料や原子力に依存し続けるエネルギー産業の既得権益を守る国の政策がもたらした数字です。日本は世界の自然エネルギーシフトからも大きく遅れています。