国会が閉会となった夏、現場の声を聞きに全国をめぐっています。7月2日〜6日は青森県・北海道を訪問してきました。
先の見えない使用済核燃料のリサイクル、可能性が花開く地熱発電、どちらを選択するか
青森県六カ所村の核燃料再処理施設では、MOX燃料工場の建設など新たな巨大工事がいまも行われていますが、肝心の再処理工場の運転開始のめどはたっていません。総事業費14兆円を超える大事業ですが、核燃料サイクルという幻想に未だに縛られ計画を見直すことができないでいます。一旦始まってしまうと止められない公共事業の典型です。
一方、北海道函館市では新しい地熱発電所が完成、運転を開始しています。視察した南茅部地熱発電所は、バイナリー発電という、地熱でも比較的低温の温水を使って発電する方式をとるもので、地熱発電の可能性を大きく広げる発電所といえます。動かない原発施設へのさらなる投資か、未来につながる自然エネルギーへの投資か、いま問われています。
釧路湿原の貴重な自然を壊す太陽光発電所
北海道の釧路湿原では太陽光発電施設の建設が問題となっています。昭和55年に日本で最初のラムサール条約登録湿地となり、国立公園にも指定されている貴重な釧路湿原ですが、その周辺では太陽光発電所の建設が進み、自然環境が壊されそうになっています。環境省レッドブックで絶滅危惧種に指定されているキタサンショウウオの生息地で太陽光発電所が建設される事案も発生しています。
国立公園外にも広がる湿原は多くが放置された土地であり、原野商法で切り売りされたような土地も多く含まれています。開発事業者はそうした土地を買い集め太陽光発電所の建設を進めています。
釧路市では太陽光発電の設置に関するガイドラインを作成して「適当でないエリア」の設定、希少種を守るための専門家の助言、住民への説明会の開催などを定めていますが、強制力がなく乱開発を止めるには至っていません。より強制力のある規制のための法整備が必要です。国会にて提案してゆきます。