日々、エネルギー政策の専門家の皆さんと議論を重ねてきました。以下、現時点の到達点として気候危機に責任を持って対応するエネルギー転換戦略のアップデートです。(山崎誠私案)
【基本的な考え方】
電気代、ガソリン代などエネルギー関連の価格は、国民の暮らし、産業に大きな影響を及ぼします。現状では、エネルギーの9割近くを海外に依存しているため、地政学的リスクによる化石燃料価格の高騰や円安の影響を大きく受けることとなります。コストアップが産業は国際競争力に影響するだけではなく、電気代や燃料費の高騰で国民生活は苦しくなります。2022年度は年間35兆円の化石燃料代が海外に流出しており、地域も国民も疲弊しています。
立憲民主党は、省エネルギー・自然エネルギーの導入を全力で進めエネルギー自給率を飛躍的に高めます。エネルギー自立、エネルギーの低コスト化を実現、これまで海外に流れていたお金を国内・地域内にとどめ、経済を活性化、地域を再生させます。市民参加、地域主導で、省エネ・自然エネルギー導入をすすめ、環境調和で持続可能な「自然エネルギー立国」を実現します。脱炭素・経済の成長・雇用の拡大につなげます。
昨今、気候変動の進行が加速し、深刻化になっています。「自然エネルギー立国」の実現は、気候災害の激甚化を抑制し、災害や、熱中症、伝染病の拡大などの被害を小さく抑え、若者世代・将来世代まで安定した気候を守ることに大きく寄与します。立憲民主党は、地球の気温上昇を国連が目指す1.5℃以下に抑えることができるよう、気候・エネルギー政策を通じて日本の責任を果たし、未来を民主的に選ぶことができる社会、日々の暮らしや仕事の不安のない安心な社会をつくります。
対立や紛争を本質的に生みだす化石燃料依存の社会から、自然エネルギー中心の社会へと移行することで、平和で自立した安全な社会を実現します。
【数値目標】 以下の実現をめざします
- 2040年 すべての電気を再生可能エネルギーに
- 2050年 エネルギー自給率を80%に
- 再エネ・省エネで光熱費を30%下げる
- 再エネ収入・省エネで農林漁業者の収入を30%増やす
- 2035年 販売する新車を100%脱炭素化(電気自動車に加え脱炭素化された内燃機関を含む)
- 2035年 温室効果ガス排出を70%以上削減(2013年比)
【個別政策】
<自然エネルギー立国で暮らしを豊かにする>
エネルギー自給でお金の海外流出を防ぎます
自然エネルギー立国は最大のエネルギー安全保障政策・円安対策。為替変動や資源をめぐる地政学的なリスクのない再エネでエネルギーの自給を目指す
※ 2022年度の化石燃料輸入額は35兆円、貿易赤字は約21兆円
エネルギー自給、原発依存からの脱却で安全保障上のリスクを減らす
光熱費を安く、国民の負担を軽減します
コストの安い再エネの利用拡大で光熱費を安くする
余った電気を捨てるよりも値段を下げて有効利用へ
電気の供給量に合わせた電気料金制度導入を促す(昼間の電気利用拡大)
さらなる電力システム改革の断行(分散型エネルギーにふさわしい体系へ)
※ ユーザー(需要側)の持つ蓄電池・電気自動車・給湯器等のフル活用
※ 特に電気が余っている時間帯の再エネ吸収託送料金をゼロに
自然エネルギー資源を活用して地域を豊かにします
地域の特性を活かした再エネ導入、省エネの実施
地産地消のエネルギーで、電気代・燃料費を地域で回るお金にします
再エネ・省エネ事業で仕事や雇用を生み、収入源を作る
過疎化を防ぎ、消滅自治体をなくす
<環境調和、国民目線で自然エネルギー立国を実現>
地域に根ざした環境調和の再生可能エネルギー導入を進めます
自然破壊を伴う再エネ事業はストップ
新築建物への屋根や壁、大型駐車場等へのソーラーパネル設置原則義務化
ソーラーシェアリングで農業・畜産業の所得増、農業・畜産業を守る
的確なゾーニングと環境アセスに基づく洋上風力発電の推進
地元漁業者等の事業参画により洋上風力発電の収益を地域に還元
地域の林業をベースとしたバイオマス利用(地域熱供給等)
地域の温泉と両立できるバイナリー地熱発電の普及
環境負荷が小さく安定的な電力供給が可能な水力発電の推進(小水力、既設ダムを利用した揚水発電など)
国・地方公共団体の全ての建物にソーラーパネルと蓄電池を設置します
公共施設再エネ義務化、再エネ導入拡大の起爆剤に
暖かく涼しい住まいや建物による健康的な生活空間づくり
学校、災害時の避難所、国・地方公共団体の全ての建物で断熱化を徹底し、再エネ・蓄電池設置の義務付けを広めます
一軒・一棟まるごと断熱化へ国の支援を強化、交通事故死より多いヒートショック死を建物断熱で大幅に減らす
被災地での建物再建の際は最高の断熱基準で
低所得者層への再エネ・省エネ機器の導入を支援します
低所得者層への再エネや省エネ機器購入、断熱化支援
<自然エネルギー立国で産業・社会構造を変革>
世界をリードする環境エネルギー産業を創出、新たな雇用を生み出します
効果と効率を考えた選択・集中型の産業政策により、環境エネルギー産業で世界をリードする
次世代太陽光パネル等再エネ関連の技術開発促進、再エネ設備の国産化を目指す
脱炭素化が求められるサプライチェーンに対応する再エネ供給を実現
太陽光発電パネルや蓄電池等のリユース・リサイクル技術を確立、資源を有効活用する循環型経済を実現
公平・公正な移行を進めます
エネルギー転換に伴う雇用転換をリスキリングや所得補償等により円滑に進める
影響を受ける地域の振興と労働者の雇用の移行
誰も取り残さずにカーボンニュートラル社会へ移行
硬直化したエネルギー政策から脱却します
既得権益にとらわれない議論の場を作る(参加型民主主義)
若者・未来世代の声を聞いて長期的・予防的視点に基づいた政策を実現(未来世代法)
若者の気候キャリア育成を進め気候変動青年協力隊(仮称)を創設します
再エネ・省エネや気候変動対策などの教育・訓練を行い、若者を日本の各地域に派遣
※(参考)バイデン政権が「American Climate Corps」を創設
能登半島地震を踏まえ、原子力発電所事故の避難計画を再検証します
本年1月に発生した能登半島地震では道路が寸断し交通が麻痺、複合災害のリスクが顕在化した
原子力発電所の避難計画が実効的なものかを今回の地震を踏まえ再検証
実効性ある避難計画が策定されなければ原子力発電所は稼働させない