裏金はそれ自体、法的にも倫理的にも問題ですが、それ以上に、政治に流れるお金が国の政策をゆがめるという意味で自民党政治は構造的問題をはらんでいます。
例えば、経団連は毎年24億円の政治献金を自民党に出しています。当然、企業や団体はそれ相応の見返りがあるから政治献金を出す、実際に自民党はそうした企業や団体に有利となるような政策を誘導しています。大企業に有利な税制、輸出企業に利益を生み出す円安誘導、防衛費倍増、原発の40年を超える運転再稼働、石油元売り企業や電力大手向けのエネルギー補助金などがその典型です。
問題は国家プロジェクトの多くが、日本経済を発展させるというより、既存企業の救済と延命が目的となってしまい、産業の健全な新陳代謝を阻害していることです。
そうした利権政治が行われる中で、日本の産業経済の衰退は加速度的に進んでいます。株式時価総額の世界のトップ100社ランキングをみると30年前には日本企業が上位を占めていたにもかかわらず、いまやランキングに入っているのはトヨタ1社になっているのです。
日本再生のため、まっとうな賃上げのためにも、自民党の既得権益優先、利権政治からの脱却が必要です。限られた財源、民間資金を有効活用し、未来の成長につながる教育や人材育成、基礎研究の充実、脱炭素社会の実現に向けて成長産業である自然エネルギーや蓄電技術などへの集中投資、国内でお金が回る地域主導の省エネ・エネルギー事業推進など、新しい日本のカタチを創造する経済政策への転換が必要です。農業や社会保障の分野も同様に新しい成長分野として経済の柱になる分野です。
重厚長大の輸出産業主導の経済から、国民の生活、地域に根ざした国内消費主導の経済へ、日本の構造改革のために「まっとうな政治」が必要です。

