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2024.11.03

自公過半数割れの国会、何が変わるか、何が出来るか

第50回衆議院議員選挙では、立憲民主党他野党が250議席という多数を占め、自公の215議席を大幅に上回ることになりました。与野党が拮抗する緊張感のある国会の必要性を訴えてきましたが、今回の選挙ではそうした国会を実現することが可能となりました。

 11月11日から特別会が開会されますが、この新しい議席配分により国会がどう変わるか、考えをまとめます。

政権交代が実現できるか

 目標としている政権交代ですが、野党の連携が実現できれば議席数から言えば充分に政権交代が可能な状況となりました。本来、先の通常国会の最終盤で野党協力して石破内閣不信任決議案を提出した経緯もあり、協力して政権交代を目指すのが国民の期待に応えることになると考えます。ただ自公は一部野党と連携することで、野党の分断を図ろうとしており、政権交代が実現できるか難しい情勢です。政治改革を断行し政治への信頼を取り戻すという一点では、野党各党一致できるはずであり、政権交代は実現できるはずです。日本の危機を共有し、小異を捨て大同につく、政治判断が求められます。

熟議の国会を実現する

 政権交代が実現できなかったとしても国会の質疑や採決の様子は大きく変わります。自公政権が成立しても少数与党に支えられることになり、野党の協力なしには法案や予算を成立させることが出来なくなります。具体的には以下のような変化が期待できます。

◎ 委員会の運営

 衆議院に設置された常任委員会、特別委員会について、与野党が拮抗することでその運営が変わります。委員会の運営を決める理事の構成も変わり、これまでほぼ独占されてきた委員長ポストが野党に割り振られることになります。委員会の充分な審議時間の確保と共に、参考人招致、現地視察などの機会を増やすなど多角的な議論が可能になります。

◎ 内閣提出の法案、予算

 内閣の提出する法案や予算案について、野党が一致して反対すればその成立を阻止することができます。これまで不十分な内容であっても、最後は与党多数で強引に成立させられましたが、今後は野党の声を聞かなければならず、国会審議を通して、より広く合意を得られる内容へ修正できるようになります。

◎ 議員提案の法案

 これまで野党提案の議員立法については、ほとんどのケースで委員会に付託されるだけで、審議も採決もされず店ざらしされてきました。今後は、野党が一致すれば審議、成立させることも可能になります。多様なテーマで国民本位の立法が可能になります。

◎ 内閣不信任案

 内閣不信任案、大臣不信任案についても法案と同様、野党が一致すれば成立させることが出来るようになります。政権与党としても説明責任を果たすなど丁寧な国会運営をしなければ、野党からの要求により、退陣を求められることになります。もちろん、野党としても力を過度に誇示することなく国会の機能の維持とその強化に努めるべきと考えます。

 このように国会の運営が具体的に変わることが期待できます。審議に時間がかかるなど、批判を受ける場面もあるかと思いますが、しっかりと審議状況等を報告して熟議の様子を伝えることが出来ればと思います。与野党逆転の国会、野党の責任は大きく、全力を尽くします。