12月24日、臨時国会が閉会しました。先の衆議院議員選挙の結果を受けて、この臨時会から、与野党逆転の国会となり、自民党一強の政治下では実現できなかったことが数々実現できています。
補正予算案の修正、1000億円を能登半島の復旧復興に
一つには、補正予算案の修正があります。能登半島の地震と豪雨災害への対応については、補正予算を早く組むようにと訴えてきましたが、ようやく編成された補正予算案を修正することで、能登半島の復旧復興のための1000億円の予算を確保することができました。被災した家屋の公費解体など遅々として進まない能登半島の復旧ですが、この予算をベースに復旧復興を加速化できればと思います。予算の修正は、28年ぶり、補正予算の修正は憲政史上初の出来事です。
政治改革を前進させる
政治改革についてもいくつかの進展を見ることができました。一つには渡し切りで使途が不明なままになっていた政策活動費を全面廃止することができました。自民党は「公開方法工夫支出」という新たなカテゴリーをつくり使途不明の支出を残そうとしましたが、野党が一致協力して、これを許さず、全面廃止を勝ち取りました。また、旧文通費(調査研究広報滞在費)についても、この使途の公開を義務づけ、残金があれば返納する制度を作ることが出来ました。これまで自民党が反対してきたために実現できなかったことです。
既得権益、省益優先の経産省主導を許さない
環境エネルギー政策について、エネルギー基本計画、地球温暖化対策計画、GX2040ビジョンの3つの大きな基本計画の改定が進んでいます。政府からは12月中に素案が提出され、パブリックコメントを経て、来年2月には閣議決定される見通しです。問題はこうした計画が全て経済産業省主導でまとめられ、既得権益、省益確保のための改定が進んでいることです。
例えば、地球温暖化対策計画の柱になる温室効果ガスの削減について政府は 2013年比で2035年に60%削減を目標にしようとしています。これは気温の上昇を1.5℃以下に抑えるという国際的な約束に応えるにはあまりにも低い水準であり、深掘りが必要であるといわれています。
12月18日の経済産業委員会では、環境副大臣にこの点を問いましたが、産業界への配慮が必要、高い削減目標の設定は妥当ではないという趣旨の答弁がありました。本来、環境省は環境保全の視点から、経産省は産業経済の視点から議論をすべきです。気候変動は地球規模の人類生存にかかわる問題であり、より環境配慮の方向で議論がなされるべきです。環境省が経産省と同じスタンスで発言をすること自体、経産省主導を現していると言えます。
日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)という気候変動に対して前向きに取り組む企業群の皆さんからは、75%を超えるより高い削減目標を設定すべきとの要請を受けています。また、農業や漁業への気候変動の影響は大きく、食の基盤を揺るがすことになるとの訴えもいただいています。
今後、素案に対するパブリックコメントが行われますが、様々な問題点を指摘しながら、閣議決定までの間に必要な修正を勝ち取っていきたいと思います。
激化する地球温暖化に歯止めをかけるためには、2050年カーボンニュートラルへの「経路」が重要になります。毎年排出される温室効果ガスの総和を抑えることが必要です。(総量のことをカーボン・バジェットと言います)政府は排出削減の経路として、直近の削減目標は甘くしてもらいたいとする産業界の主張である上に凸のグラフと、より前倒しで削減すべきとの主張である下に凸のグラフを示し、その間をとるとしています。このような決め方で良いのか疑問が残るところです。