政治にお金がかかるのではなくて、選挙にお金がかかる。選挙に勝つためにお金がかかる。それが今の政治です。政治家は選挙に勝たなければ、バッジをつけることができない、仕事ができない。これは言うまでもなく大事なことです。一方で、選挙に勝つことが目的化されてしまい、そのために何をするかということに重点が置かれるようになる。結局、選挙のための活動にお金と労力が過度にさかれることになっています。
選挙に勝つための活動
例えば、選挙を視野に地域に事務所をいくつ構えるのか、秘書を何人雇うかを競うようになっています。秘書を5人、10人と雇うようになれば多額の人件費がかかります。そうした秘書は地域を歩き、イベントに顔を出して挨拶をする、あるいは街にポスターを貼る競争をするようになる。政治の中身よりも露出を増やすことに注力するようになっています。
どれだけ広報にお金を使うか
広報でも、同様です。例えばチラシを作ってポスティングをする、手紙を出す、タウン誌に広告を掲載する、SNSなどネット戦略を実行するなど、大変なお金がかかります。そうした広報をやればやるほど、その政治家は選挙に強くなっていくわけで、そのためにお金をかけるようになる。こうした体質は与野党問わず、選挙に縛られる政治にその根があります。
使えるお金を制限する
抜本的に政治を立て直すためには、こうした選挙目的の活動をどう制限してゆくかが重要であると考えます。
もちろん政治家本人が街に出て有権者とふれあうことは大切であり、そうした活動は大いになされるべきです。それを支えるコストは現在でも政党交付金としていただいていると認識しています。その範囲内で、すべての議員が同一の条件下(同じお金)で活動することを基本ルールにするのです。そうなれば企業団体献金や資金集めのパーティーも意味がなくなります。政治とカネの問題を抜本的に解決することが出来ます。
議員を正しく評価する
選挙に勝つためにお金がかかる、お金を使う政治を変えてゆかなければなりません。国会議員であれ、地方議員であれ、それぞれの議会での活動がしっかりと評価されることが必要です。また活動の様子を公平に伝える情報発信の仕組みなどを整える必要があります。
例えば、街に貼り出されているポスター掲示を禁止して、代わりに選挙時に設置される公営掲示板を常設化して、議員(候補者含む)の活動報告等を常時掲示できるようにする。
有権者にも、ただ知っている、握手をしたといったようなことでのみ投票するのではなく、政治家としての活動や主張をしっかりと評価して投票するリテラシーが求められます。また、議員に何をしてもらいたいのか、それがしっかりと国民の意思として示されれば、それが選挙に勝つための活動ということになります。
政治という職を支える仕組み
もう一つの問題は、議員としてどうやって生活してゆくかです。いまの制度では議員になれば一定の報酬を受けることができますが、落選すればまったくのゼロ、引退後も議員年金もありません。特別な資産家や世襲議員などでなければ、生活の安定はありません。こうした現実があるため、なんとしても当選しなければならない、議員を辞められない、お金を儲けなければならないという意識を持つようになるのです。
報酬を上げろと言うことではなく、一定の生活保障の仕組み(共済制度や民間企業への再就職支援など)があれば、選挙に勝つことが過度に目的化されることもなくなるのではないか。また政治が、より多くの人が挑戦できる仕事になるのではないかと考えます。
政治改革は選挙制度等の見直し、国民の意識改革、理解がなくしてはなし得ないと考えます。選挙のための政治から、国民のための政治へ、真の政治改革を目指します。皆さまのご意見をお寄せください。