2月28日、予算委員会の分科会にて経済産業省に対して質疑の機会をいただきました。補助金の支給業務の効率化を提案、もう一点は価格高騰が続く電気代に関して電力市場における相場操縦について質しました。
以下、その内容をご報告します。
委託事業の透明化、効率化を求める
まず取り上げたのは「電力ガス価格激変緩和対策等事業」です。ウクライナ戦争、円安を受けて高騰する電気・ガス代について激変緩和策として補助金を支給する事業ですが、令和四年度からスタート、令和7年も1月から3月まで実施されています。家計を直撃する電気代、ガス代について補助する本制度の意義は大きいのですが、既に7兆円の税金が投入されており、補助事業の出口を見つけてゆかなければならない段階に入ってきています。
質問では補助金を支給する事務のあり方について質しました。委託事業として発注されていますが、正しく執行されているか、無駄はないかが問題となります。かつてコロナ禍にあって持続化給付金を支給する委託事業について国会で追及してきました。委託先の事業者の実態がなく、作業は再委託、再々委託先が実施するという構造で、中抜きに当たるような税金の無駄遣いが見つかっていました。経産省も問題を認め委託事業のあり方について見直しを加えてきたところでした。
今回の事業でもほぼ同様のスキームで業務が施されており、会計検査院からは再委託先の事業者の設定理由が明確になっていないなど、指摘を受けていました。確認したところ、請負金額の70%以上を再委託しており再委託先の選定に関する具体的な説明がないことが分かりました。
また、令和4年度と令和5,6年度では委託の方式を変更して委託経費の削減が可能となっています。令和4年度は3兆円にのぼる補助金の支給業務全体を委託先に発注したのに対して、令和5、6年度は補助金の支払いは国から直接対象事業者に支給することとしており、委託業務としては支給に当たって必要となる審査や問い合わせ対応に限定する方式がとられました。令和4年度についてはおよそ300億円の経費がかかってましたが、令和5,6年度はそれが50億円程度に圧縮できたと言うことでした。実に250億円の経費節約が実現しています。
今後も同様な補助金の支給業務が発生しますが、経産省としてノウハウや事業スキーム等を蓄積、共有して、透明で、効果的、効率的な業務遂行を実現するように強く訴えました。
電力価格の高騰につながる、電力市場の相場操縦
2つめのテーマは、電力市場に関する問題です。電力価格が高騰する中で、日本最大手の発電会社である株式会社JERAによる相場操縦、売り惜しみに当たる行為が発覚、昨年11月に電力ガス取引監視等委員会より業務改善勧告が出されました。
現在、電気は、電力会社と消費者の個々の相対契約による供給と電力市場における取引を通した供給の2つの方式により供給されています。
電力市場では、発電事業者が売り入札を、買い手である小売電気事業者が買い入札することで30分ごとに値段が決まり供給されています。
大手発電事業者に対しては余剰の電力については全量、限界費用で市場に供給することが定められていますが、今回のケースでは4年以上の長期間に亘り、余剰電力を市場に供出しなかった取引が複数指摘されています。余剰電力が全量供出されていたならば、市場で決まる取引価格(約定価格)が低くなる、すなわち電気代を下げることができました。
今回の事案では1億から最大10億円の市場への影響が報告されており、発電事業者は不当な利益を得、小売事業事業者は損失を被ることとなりました。
こうした不正な操作の是正はもちろんのこと、再発防止と共に、こうして発生した想定外の利益と損失を正しい価格に基づいて調整(原状回復)する仕組みが必要と経産大臣に強く対応を求めました。
多様な主体の電力事業への参入を可能とし、電気料金の低減を目指して電力自由化が進められていますが、その核になる電力市場において大手電力会社の支配的影響が残っています。今後も消費者が安く安定した電力供給を受けられるように電力システムの適正化に取り組みます。
