News&Report

2020.02.07

「人工光合成」気候変動対策の切り札になるか?

安倍総理がこの通常国会で盛んに宣伝をする「人工光合成」について、経産省の説明を受けました。気候変動対策の切り札として力を入れている安倍総理ですが、その中身について確認しました。

技術的には太陽光エネルギーを用いて水から水素を直接製造する光触媒の開発が核になります。触媒を塗ってある水槽に水を張り、太陽光を当てると、水の分解が進み水素と酸素が発生、水素・酸素の混合ガスを膜分離により水素を取り出すことを目指しています。

さらに製造された水素を二酸化炭素CO2と結びつけることで、オレフィンなど基幹化学品を合成するプロセスにつながります。この過程でCO2が使われることから光合成に類似しているとされ「人工光合成」と呼ばれています。CO2の吸収源対策としてCO2を集め活用するCCUの一つでもあります。

水素の製造には、(1)化石燃料からの製造(製造時、当然CO2が排出される)、(2)副製ガスとして発生する水素の活用、(3)電気分解が一般的ですが、特にCO2フリーという意味では、再エネ電気による電気分解との比較が重要となります。

現時点ではこの光触媒方式では太陽光エネルギーの変換効率が5.5%、太陽光発電+電気分解が15%程度であり、このままでは実用化は難しいと言えます。研究開発の目標としては2021年末で効率10%目指すとのことです。

経産省としては「二酸化炭素原料化基幹化学品製造プロセス技術開発」事業として2012年から2021年までの10年間、総額150億円の予算を付けて支援しているプロジェクトが進行中、海外(砂漠)などでの活用も視野に開発を進めるとのこと。

脱炭素社会を実現の中核はCO2を排出しないシステムへの移行と考えますが、過渡的にはこうしたCO2吸収に繋がる技術も必要と考えます。日本発の環境技術として実用化が進むよう応援したいと思います。

経産省の資料を添付します。