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2026.01.26

政策各論5:知恵と対話の「平和外交」で日本を守る

戦後80年。日本の安全保障は、軍事力だけで完結しません。抑止力に過度に依存すること無く、信頼を醸成する「安心供与」の外交を展開します。偶発的衝突を防ぐ対話と国際協調を同時に前へ進めます。日本は「軍事対軍事」の悪循環を固定化させず、法の支配と多国間協力を軸に、地域の緊張を和らげる外交を主導します。


1.専守防衛の「実効性」を上げる:人的基盤と災害対応を最優先

自衛隊員の待遇・採用の危機に、国家として手を打つ

いま、自衛隊は人材確保が喫緊の課題です。防衛省公表では、自衛官全体の充足率は約9割にとどまり、特に「士」の充足率が60.7%と深刻です(2025年3月末時点)。 この現実を直視し、給与・住居・勤務環境・キャリア設計を「場当たり」ではなく制度として整えます。

  • 生活基盤の改善:営舎・住居支援、手当の整理・強化、家族支援(転居・教育・介護等)をパッケージで実施
  • 人材の流出を止める:若年定年・再就職支援を含む“生涯設計”を制度化し、定着率を引き上げる
  • 現場の可動率を優先:装備の取得より、整備・部品・訓練・補給を視野に入れた予算配分ルールを明確化

予算の「透明化」と、後年度負担の見える化

防衛費は単年度の金額だけでなく、契約に伴う負担が将来に積み上がります。装備の調達の妥当性、コスト、運用維持費、訓練・整備に与える影響を国会と国民に見える形にします。(防衛省資料では「人件・糧食等」が27.7%を占める)

防災庁と連動し「災害対応力」を国の柱にする

大規模災害は、国民の生命と社会機能を一気に脅かします。政府はすでに防災庁設置に向けた準備枠組みを進めています。 ここに実効性を持たせるため、次を提案します。

  • 司令塔機能の明確化:平時の事前防災から発災後の応急対応・復旧復興まで、責任と権限を整理
  • 専門人材の常設化:短期出向中心で専門性が蓄積しにくい構造を改め、危機管理のプロを常勤で育成
  • “多目的装備”の整備:災害派遣で使える輸送、医療、通信、宿営、給水、道路啓開等を重視(平時は訓練と地域連携へ)

2.「もの言う日本」を確立:多国間外交で緊張を下げる

日米同盟を基軸としつつ、過度な一極依存を避け、国際法と多国間協力で地域の協調を実現、偶発衝突を防ぎます。

ASEANのAOIPと整合する協力を強化

AOIP(インド太平洋に関するASEANアウトルック)は、ASEANが掲げる原則と協力分野を示した枠組みです。 
日本は「クッション役」を自称するのではなく、ASEAN中心性・国際法・包摂性を尊重し、海洋協力、連結性、SDGsなど具体分野で協力を積み上げます。

“常設の対話”を、理念ではなく手順として提案する

北東アジアでは、危機のたびに対話が途切れること自体がリスクです。
そこで、偶発的衝突を防ぐための常設対話(危機管理ホットライン、軍同士の行動規範、事故時の調査手順、通報ルール等)を、段階的に構築する外交を提案します。

ODAは「信頼の積み上げ」に資源を振り向ける

気候変動・教育・保健・ガバナンスなど、相手国の制度と人材に効く支援へ重点を移し、信頼を獲得します。


3.エネルギー・食料安全保障:供給停止に強い国へ

最大のリスクは「供給停止」です。軍事だけでは守れない生活基盤を、国内の分散性と持続性で強化します。

エネルギー:再エネ拡大は“防衛の基盤”

現状、再生可能エネルギーの比率(発電電力量)は20%程度です。これを2040年には最低50%まで引き上げます。 再エネ比率を引き上げるには、発電設備だけでなく、系統・調整力・市場の再設計等が必要です。

  • 目標:再エネの種類別に導入目標を明確する
  • 系統と調整力の改革:連系線増強、出力制御の最小化ルール、蓄電池・DR(需要側調整)市場の拡充
  • 地域分散:自治体・公共施設・住宅の自家消費と系統貢献を両立し、災害時も止まりにくい電力構造へ

食料:政府目標(2030年45%)の早期実現

カロリーベースの食料自給率は38%、近年も大きく改善していません。 政府の2030目標が45%である以上、そこに整合させた上で、達成手段を具体化する必要があります。農業の再生は日本の最重要課題の一つです。

  • 目標:10年スパンで45%へ近づける工程を提示(生産量・担い手・飼料/肥料の国産比率など中間KPIを設定)
  • 飼料・肥料の国産化:耕畜連携、国産飼料作付け支援、資源循環型肥料(下水汚泥・家畜ふん等)の品質基準と需要創出
  • 輸入途絶リスクへの備え:重要品目の在庫・代替調達・輸送の冗長化を、経済安全保障政策として組み込む