1. スマート治水と自然環境の共生:流域治水への転換
近年の豪雨の激甚化を前提に、堤防などの「河川対策」だけに依存せず、流域全体で水を受け止める流域治水へ転換します。これは国が掲げる方向性でもあります。
- 貯める・しみ込ませる対策の強化(境川・柏尾川流域)
公園・学校・農地など既存ストックを活かし、雨水の貯留・浸透(流出抑制)を増やします。横浜市も流域内の貯留・浸透施設の重要性を示しています。
田んぼの排水調整で流出を遅らせる「田んぼダム」など、農地の多面的機能も活用します。 - 想定外力は「最大規模」を基準に明確化
「ゲリラ豪雨」は言葉が曖昧なので、行政が用いる想定(例:横浜市の内水ハザードマップは最大規模として1時間153mmを前提)など、出典のある基準で示します。 - “見える化”で避難の判断を早くする(センサー×情報提供)
浸水感知センサー等を活用し、浸水状況をリアルタイムに可視化します(国も実証を進めています)。
あわせて、自治体・民間の技術を活用し、数時間先を見通す予測情報の提供を目指します(時間先行の目標値は、実証結果を踏まえ設定します)。
「涼しい街」と一体で進める:都市のスポンジ化
水害対策と暑熱対策は別物ではありません。透水性・保水性舗装、緑化などにより、雨を受け止めると同時に、夏の暑さをやわらげます。国のガイドラインでも、舗装・緑陰等による体感温度の改善効果が示されています。
※整備地区ごとに指標(地表面温度・WBGT等)を定めて効果検証します。
2.避難所の劇的改善:TKB(トイレ・キッチン・ベッド)の確保
避難所環境の悪化は、災害関連死のリスクを高めます。国も避難生活環境の改善を進めてきました。
- 国際基準(スフィア基準)も参照して底上げ
例として、トイレは「発災初期は避難者50人に1基」「中長期は20人に1基」、生活スペースは「1人あたり最低3.5㎡」などの考え方が、公的文書にも示されています。 - T:トイレ(数と運用の確保)
マンホールトイレ等の整備・運用には国のガイドラインがあります。
優先順位(要配慮者の多い避難所から)と段階導入で、早期に“使えるトイレ”を確保します。 - K:キッチン(温かい食事)
キッチンカー等を活用した食事提供は、自治体の先行例も踏まえ内閣府が周知しています。
協定・動員計画・衛生手続きまで含めて「早期に適温食を届ける体制」を作ります。 - B:ベッド(雑魚寝をなくす)
内閣府は、避難所開設当初からパーティションや段ボールベッド等を迅速に設置するよう自治体に求めています。 これに沿って、備蓄+広域調達(相互応援・民間協定)で不足を埋め、寝床とプライバシーを早期に確保します。 - 避難所外(在宅・車中泊)も“支援の対象”にする
東日本大震災の教訓として、避難所以外にいる被災者に支援が届かない課題が指摘され、国も配慮を求めています。
デジタル登録や情報配信(LINE等)は有効ですが、バイタル収集は個人情報・同意・運用体制がボトルネックです。ここを曖昧にせず、同意設計・支援チーム編成・アナログ代替(電話・民生委員連携等)をセットで整備し、プッシュ型支援を実装します。
3.実践的防災訓練と「生き残る力」の底上げ
行政主導の“年1回訓練”で安心した気になるのをやめ、住民が主役の訓練に変えます。
- 地域の担い手育成(防災士等)
「各自治会に最低5名」などの人数目標は、自治会規模・担い手人口で現実性が変わります。ここは断定せず、自治会規模別の目標(例:世帯数あたり)に改め、受講費・装備・継続訓練を公費で支えます。 - 家庭備蓄(ローリングストック)の普及
学校・自治会・事業者と連携した点検(チェックリスト)+購入支援+備蓄の見える化で実効性ある普及プランを提示します。 - フェーズフリー(平時にも使う装備)
アウトドア用品・EV等を災害時に活用する発想自体は合理的です。要は「誰が・どこで・どう運ぶか」。協定は“紙”で終わりがちなので、年1回の実動訓練(搬送・設営・充電・配電)までを標準化します。