北海道の誇る豊かな自然、釧路湿原。その周辺で急増する大規模太陽光発電(メガソーラー)開発をめぐり、環境保護と再生可能エネルギー推進の両立が大きな課題となっています。昨年7月に続き、9月26日に現地を視察し、環境省と釧路市それぞれの取組を確認しました。その内容をご報告します。
環境省の取組 ー 猛禽類保護と規制強化の遅れ
視察先の「釧路湿原野生生物保護センター」では、オオワシ、オジロワシ、シマフクロウ、タンチョウといった希少鳥類の保護活動が行われています。
しかし近年、周辺でのメガソーラー計画がこうした生息環境を脅かしています。パネル設置により巣作りや給餌が阻害されることから、専門家は「営巣地から半径1キロの離隔」を提案していますが、制度としてはまだ導入されていません。
さらに、風力発電や道路・鉄道による事故も相次ぎ、環境省は橋梁へのポール設置や電柱の感電防止対策を進めています。しかし、メガソーラーに関しては環境アセスメントの規模要件が大きすぎ、影響調査が不十分なまま建設が進んできた歴史があります。現場からは「アセス規模要件を引き下げよ」と強い要望が出されました。
釧路市の対応 ー 条例による全国初の規制モデル
一方、釧路市は独自に踏み込んだ規制を始めています。森林法や盛土規制法に違反した事業が問題となったことを契機に、市は市街化調整区域における太陽光事業を実質許可制とし、行政が指定する第三者専門家による調査と保全計画の策定を義務付けました。これは事実上の「ネガティブゾーニング」であり、全国的に遅れている制度を補う画期的な仕組みです。
ただし、対象は市街化調整区域に限られ、山林や原野などは規制外。事業者がアセス逃れのため規模を調整する抜け道も残されています。釧路市は近隣自治体と連携し、広域的な規制を検討しているところです。
全国的課題 ー 法整備の遅れと財産権の壁
釧路市の先進的な取組は評価されますが、自治体任せでは限界があります。国が環境アセスメントの基準を見直し、小規模案件も対象に含めること、そして「ここは絶対に開発してはならない」というネガティブゾーニングを法的に導入することが不可欠です。財産権との調整という憲法上の課題はありますが、かけがえのない自然環境という公共の利益を優先する新たな法理を築くべき時です。
再生可能エネルギーの未来 ー 悪質事例からの転換
「太陽光発電=悪」ではありません。悪質なメガソーラーが目立つことで再生可能エネルギー全体への不信が広がることこそ危険です。釧路湿原の事例を反面教師とし、営農型ソーラーシェアリングなど地域と共生できる導入モデルへシフトすべきです。再生可能エネルギーは脱炭素社会実現の切り札であり、環境と調和しながら導入を進めることが国の責務です。
釧路湿原の自然は、日本が世界に誇る宝です。その保全と再生可能エネルギー導入の両立は、次世代への責任でもあります。釧路市の先進的な取組を全国に広げ、法整備を急ぐことを強く訴えてまいります。自然を守りながら再生可能エネルギーを推進する「日本型モデル」を築くため、皆さまと共に歩んでいきたいと思います。

釧路市役所にてヒアリング、副市長および担当者の方から釧路市の取組状況をお聞きしました


自然公園のすぐわきの釧路湿原が開発予定地になっています、造成工事が進められている