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2021.04.02

「気候正義」を日本社会の指針にするには、若者との対話

NO YOUTH NO JAPANの主催の企画「国会議員にダイレクトーク!」に参加しました。テーマは「気候変動とエネルギー」。気候変動問題に取り組んでいる Fridays for Future Japan のメンバーの皆さんとじっくりと対話することができました。

皆さんからの問題提起は以下のようなもの。

  • いますぐにCO2の排出削減に取り組まなければならないのに、日本はなぜ、気候変動対策に後ろ向きなのか?
  • 日本はなぜ原発、石炭火力発電から脱却できないのか?
  • 生物多様性の価値の重要性が広まらないのはなぜか?
  • エネルギーや気候変動に関する国民的議論が必要、なぜ国はそうした場を設けないのか?

こうした問題提起はどれもとても重要、次の社会の主役である若者が今の日本の政治や社会に強く疑問をもっていることを改めて痛感しました。

私からは以下のような発言をさせてもらいました。

日本社会にあっては、社会的な不公正や人権侵害、環境破壊など正義に反する事象が常態化しています。倫理的な価値がないがしろにされ、目先の経済的な価値が優先されることが社会的な正義の実現を阻んでいます。

例えば原発の問題では、東電福島第一原発の被災の現実(ふるさとの喪失と地域の分断)、処分方法の見通しの立っていない使用済核燃料、被曝労働の現実など、社会的な公正を著しく欠くシステムへの依存を未だに止めようとしない。一時的、一部関係者の利益のために社会正義がないがしろにされる典型例と言えます。ドイツでは福島第一原発事故の後、原子力発電の是非について議論する倫理委員会が立ち上がり、脱原発の方向性が決まりました。日本にこうした倫理に基づく議論の場がないことが大きな問題です。本来、国会こそこうした議論をすべきですが、できているとは言いがたい。これから若い世代に響くような議論を展開したいと思います。

気候変動に対応したエネルギー供給については、2030年に省エネ35%(2013年比)、電源構成を再エネを47%、LNG火力を53%とするエネルギーミックスを提案。2030年には石炭火力、原発には基本的に頼らない(一部、バックアップとして確保することについて議論中)エネルギー供給を実現することで、2013年比−60%のCO2の排出削減が可能となります。

こうした目標は、省エネの深掘り、再エネの大量導入が前提であり、こうした施策を国民の合意を得て実現できるかが成功の鍵です。再エネ導入に当たって環境破壊が起きては元も子もありません。しっかりとしたゾーニングやデータに基づいた、地域の合意、地域の参加による開発が必要であると考えています。(例えば太陽光発電については、環境破壊につながるメガソーラーは打ち止め、屋根置き太陽光発電、ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)に限定、風力発電についてはゾーニングを徹底し、環境との調和を図る、洋上風力発電をメインとするなど)

国民的な議論については、ぜひとも実現しいところですが、現状維持を強く指向する勢力が社会経済を握っている現状では、公正公平な議論が難しい状況にあります。データ改ざん、隠蔽、メディアの権力追従などが起きている現時点では、議論をするベースの確保が極めて難しい状況です。一般国民に正しく判断してもらうためのデータや事実の開示を徹底的に求めてゆきます。NO YOUTH NO JAPANの皆さんと協力して、国民的議論を実現できればと思います。

参加者からは私の話では物足りない、現実の延長で未来を考えるべきではないのでは無いかとの厳しい指摘もありました。

政治は、いまと未来をつなぐ仕事であり、国民に対して信頼してもらえる施策を提案してゆかなければならない。新しい技術や新しいシステムに過度に依存するシナリオについては提案しにくいものです。ですが、よりよい社会、世界を目指して時代を先取りするビジョンを提案してゆける政治を目指して、ネットワークを広げてゆきたいと思います。

NO YOUTH NO JAPAN
「若者が声を届け、その声が響く社会へ」 
U30世代のための政治と社会の教科書メディア