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2020.04.30

日本社会の弱さが一気に顕在化、新型コロナウイルスがもたらしたもの

新型コロナウイルス感染感染拡大の中ですが、現場の声をインターネットなど工夫しながらお聞きしています。お話をお聞きして痛感するのは、危機に直面し、もともと日本社会が内在していた問題が一気に顕在化していること。制度や仕組みの弱い部分や格差社会の中で厳しい生活を送ってきていた方々の生活が、真っ先に崩壊しかけている現実です。

まずは命や暮らしをなんとしても守り抜く、日本経済の崩壊を食い止めるための施策に全力を尽くすしかありません。新型コロナウイルスの感染収束後、日本社会の抜本的再建が必要です。

医療現場からの声

「どこに感染者が隠れているか分からない。感染者の特定が遅れて、感染拡大が発生している。一人でも感染が分かると病棟単位で閉鎖、通常の医療継続が困難になる」

「PCR検査について、いくらリクエストしても実施されず、かかりつけ医に戻されるケースが多発している。CTで肺炎が見つかっても検査をうけさせてもらえないようなケースまで。かかりつけ医としては、解熱剤、風邪薬等で対応するしか他に手はなく、大変危険な状態が放置されている」

「受診の抑制が病院経営に大きな打撃となっている。月の報酬が数千万円単位で減少、長期化すると立ちゆかなくなる病院が出るのは間違いない。このまま7月には医療崩壊が始まる」

「マスクなど衛生材料の不足は深刻。神奈川県保険医協会の調査では、医科の64%、歯科の46%でマスク不足が発生、診療制限せざるを得ない事態が発生している」(厚労省の認識と大きなギャップがあります)

《解決策の提案》

  • PCR検査の実施拡大、確定診断に基づいた医療を実現
  • PCR検査の待機者にもホテル等待機施設の確保
  • 感染者の情報を地域単位で共有する仕組みの構築
  • 病院への経営支援のための無利子貸付の迅速な実施、給付金の創設
  • 衛生材料の需要の把握、現場までしっかりと届く物流の確立

介護現場からの声

「介護従事者の健康をどう守るか、感染者が出た場合の対応などに大きな課題を抱えつつ日々の仕事をしている。スタッフには、日々の家庭での生活などにも制約が出てきている」

「施設入居者や在宅介護利用者に感染者が出た場合も、介護を続けなければならない。介護者を守るために、医療現場と同じような、マスク、ガウン、手袋、ゴーグルなどの装備が必要になるが十分でない」

「通所サービスを中止しているが、そのフォローは事業者にゆだねられている。訪問介護しか手はなく、ヘルパーが手分けして対応している状況。家事支援なども、利用者の不安から回数を減らす、時間を短縮するなどが難しく、ヘルパーさんの負担は大きい」

「在宅介護で、買物の支援をしているが、スーパーなども混雑しており、いつもより時間もかかっている。リスクを抱えながら何度も買物に行かなければならず精神的な負担も大きい」

「高齢者向けに『つどいの広場を開設していたが、いまは閉鎖せざるを得なくなっている。いままで元気だった皆さんが行き場がなく、家に閉じこもっていることで体調を崩されないか不安」

《解決策の提案》

  • 介護従事者に対する危険手当の支給
  • 事業者間の連携強化、地域で要介護者・要支援者を支える体制の構築
  • 介護現場へのマスク他防護具の提供、備蓄を進める
  • 高齢者の皆さんへの見守りサービスの実施(仕事がなくなっている人にお手伝いいただく)