経済産業省所管の中小企業および個人事業主、フリーランス、NPO等の皆さんへの「持続化給付金」、新型コロナウイルス感染症の影響で売上げが50%以上マイナスとなった皆さんを支えるための支援策で、多くの方が頼りにしている制度です。200万社ほどの申請を想定、2兆円を超える給付を予定しています。申請から給付まで2週間を目標としています。
持続化給付金が届かない
この給付事業を769億円で一般社団法人サービスデザイン推進協議会という団体が委託を受けて実施しているのですが、申請から1ヶ月以上待っているのに振り込まれない、3週間以上もたってからいきなりデータの不備を知らせるメールが届く、5月1日の申請初日に申し込んだ人が待たされている一方で、6月に申請した人にはすぐに給付があった、コールセンターがつながらないなど、困惑と怒りの声が多数飛び込んできています。
一般社団法人サービスデザイン推進協議会とは何者か
こうした業務の停滞の原因究明から浮かび上がってきたのが、委託先の選定方法や委託先の業務遂行体制に関する不透明な実態です。一般社団法人サービスデザイン推進協議会は、2016年に電通、パソナ、トランスコスモスといった大手企業が中心となり設立、設立と同時に経産省の補助事業を受注しています。その後、毎年、大型の委託事業を次々と受注、これまでに14事業、総額1570億円を超える事業を受注しています。件数ベースでその約57%が1社入札、金額ベースでは(金額の大きな持続化給金事務事業を除く)96%が1社入札という結果になっています。
再委託、再々委託、責任者不在の構図
また、業務の遂行体制については、どの事業もほぼ全ての業務を再委託しており、実質、電通および電通の子会社、パソナ他、本協議会の社員企業で仕事を分担して実施していることが分かっています。サービスデザイン推進協議会は実質的な業務遂行には携わっていない、受注のためだけの組織ではないかとの疑惑が持たれています。
持続化給付金事務事業では、再委託先の電通の下に、再々委託先として電通の子会社が、さらにその下、再々再委託先にパソナやトランスコスモスと言った企業が入っています。協議会には現在21名が仕事をしているとのことですが、新型コロナウイルスの影響もあって、事務所は不在が続いています。協議会の役割が見えてこないのが問題です。
経済産業委員会で質す
経済産業委員会で本件について2回質問(6/3、12)に立ちました。このような重層的な業務遂行体制を経産省は全て把握しているのか、例えば情報セキュリティー上、業務に当たる組織体制や個人情報を取り扱う担当者の把握が義務づけられているが、できているかを質問、6月8日になって最新の業務遂行体制や情報セキュリティーに係わる報告があったことが分かりました。5月1日から1ヶ月以上、誰が個人情報にアクセスしていたか把握していなかったと言うことで、杜撰な業務実態が明らかになりました。
給付の遅れの問題についても、提出された審査業務フローの資料は黒塗り、日々の業務処理実績の数字を聞いても出てこないなど、問題が多すぎます。経産省は769億円という巨大かつ重要な業務をどのように発注し実施させようとしているのか、その責任が問われています。
GO TOキャンペーンやキャッシュレスポイント還元事業など多くの事業で、同様の業務委託の手法がとられています。新型コロナウイルス感染症拡大の裏で、大企業が公共事業から法外な利益を得ているのではないか。事業実施に支障の出るような不適切な業務委託が行われているのではないか。官民の癒着の構図も見えてくる、極めて深刻な事態です。日本の公共事業を、国民を守るために、今後も調査、追及を続けます。