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2020.10.13

「批判や反対意見を排除する」ということ、民主政治の否定を意味する

日本学術会議 新会員の6名の菅総理による任命拒否が大きな問題となっています。

この問題の本質は「時の権力が、不都合な批判や反対意見を排除しようとしている」ことに尽きます。

任命手続きが法律に違反しているかどうか、日本学術会議がどういう組織なのか、機能しているのかなどといった議論も大切ではありますが、批判や反対意見を封じ込めようとする政府の姿勢そのものが、根本的な問題ではないでしょうか。

日本学術会議は理系、文系問わず日本の全分野の科学者を代表する機関として、戦後まもない1949年に発足しました。科学者が戦争に動員された反省から内閣総理大臣の「所轄」で経費は国庫負担としながらも、政府から独立して職務を行う「特別の機関」と規定されています。明らかに一般の行政組織とは一線を画する組織と言えます。

1950年には「戦争目的の研究には絶対に従わない」との声明、67年には「軍事目的の研究を行わない」とする声明も出してきています。2015年度に防衛装備庁が大学などに研究を委託する「安全保障技術研究推進制度」を始めたことがきっかけで、改めて日本学術会議は50年と67年の過去の声明を「継承」するとし、学術と軍事の間の緊張関係や大学などが負う責任を明確にした上で、大学や学会などに研究の適切さを審査する制度やガイドラインの設定などの対応を求めることとしています。

まさに第一次世界大戦の反省のもと、反戦、平和を希求する科学を実現する組織なのです。

「権力を守るために批判や反対意見を排除するか、国民のために批判も含めて様々な意見に耳を傾けるのか」政治姿勢こそが問われています。そもそも自信がある意志決定であれば批判をおそれることはないはずです。

批判を受け入れて、政策実施に伴う結果を正しく評価し、必要な政策変更・方向修正を行う。こうしたPDCAのサイクルを政治こそ真摯に常に回してゆかなければなりません。

新型コロナウイルス感染症、気候変動、人口減少、少子高齢化など、これまで誰も体験してきていない事態に直面しているいまこそ、専門家の意見や分析に真摯に耳を傾けることが不可欠です。分析に必要なデータは全て開示して、多くの専門家、研究者が分析できる環境を整える。

いま政治に求められているのはこうした、真実から逃げない姿勢、誤りを認め正す謙虚さ、結果に責任をもつことです。

私、山崎誠はご批判も含め、広く皆さまのご意見をお聞きして政策議論に繋げます。皆さまの率直なご意見をお聞かせください。ご意見・ご批判はこちらから。