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2020.11.21

2050年カーボンニュートラル、問題はどのように実現するか。原発依存 vs 自然エネルギー100%

11/20(金)経済産業委員会の質疑、梶山経産大臣、笹川環境副大臣に質疑させて頂きました。長くなりますが、以下、ご報告です。

菅政権の2050年カーボンニュートラル宣言を受けてエネルギー政策について質しました。温室効果ガスの排出実質ゼロの目標設定については歓迎するところですが、問題はこの目標をどのように達成するかです。

自公政権は原発依存を続ける方針を崩しません。途中経過である2030年のエネルギーミックスについて、これまでの石炭火力(電源構成の26%)に大きく依存する設定では2050年カーボンニュートラルは実現できません。

一方、私たち立憲民主党は自然エネルギー100%による実現を提案しています。来年2021年7月に改定されるエネルギー基本計画でどのようなエネルギーミックスを目標として設定するかが大きな鍵になります。原発ありきの議論ではなく、私たちが提案する自然エネルギー100%シナリオも選択として議論検討するように強く要望させて頂きました。

原発ゼロ基本法案で掲げた、数値目標である

〇省エネ30%以上(2010年比)

〇再生可能エネルギー40%以上

〇残りはLNG火力発電所

〇原発は速やかに停止

〇石炭火力発電についてはバックアップ用に維持するのみ

というエネルギーミックスで、電力の安定供給が可能であることを実証中です。現在の電力系統について運用ルールを見直す(大手電力会社間で分断された系統を広域で統合する)、省エネについては設備更新時、建替え時に、より省エネ性能の高い機器への買換、断熱性能の高い建物への建替えなどを積極的に進める、再生可能エネルギーについて特に風力についてより高い導入目標(業界が提示している目標レベル)を設定し普及を後押しするといった施策で十分に安定的な電源供給が可能であるとの結果を得ています。このシナリオによればCO2排出量の半減が可能となります。

原発の新増設について、政府の姿勢には大きな矛盾があり問題です。政府は繰り返し「現時点では原発の新増設は考えていない」としていますが、2050年に原発を動かすためには、既存の原発だけでは不十分です。40年運転の原則を取ると、建設中の大間、東通り、島根3号と泊原発3号の計4基しか動かすことができません。20年間の運転延長を認めるとしても継続的な発電は難しいと言えます。2050年の原発依存を考えると新増設が必要になるはずです。また、研究開発と称して小型原発SMR、高速炉などの研究を進めていますが、実用を前提としない研究というのも大きな矛盾です。

「現時点」は何時を指すのか、どういう条件が揃えば、新増設を認めるとの方針転換するかも明確にしません。こうしたどっちつかずの矛盾した状況は極めて異常であり、日本のエネルギー政策をゆがめていると指摘しました。

こうした曖昧な政府方針が大きな問題につながっているのが、中国電力上関原子力発電所建設計画です。建設予定地では、今年11月に入って、建設にむけたボーリング調査の準備工事が進められようとしています。これまでも建設反対の声が大きく、東電福島第一原発事故などの影響により、準備工事になかなか着手できないという状況が続いていましたが、2050年のカーボンニュートラル宣言が原発新増設に弾みを付けたのではないかと危惧しています。

11月18日、上関原発の予定地である長島にかかる上関大橋に、突如20cmの段差ができて通行ができなくなりました。この橋は島と上関町の本土側をつなぐ唯一の橋であり、この橋が使えなければ原発事故の際、陸路で避難することができなくなります。原発から4kmの祝島にも島民の皆さんが暮らしている、どうやって避難するのか、船しかないが海は荒れることも多い。梶山大臣も必要であるとする「しっかりした避難計画」はつくることはできないのではないか。梶山大臣を質しましたが、明確な回答はなく、中国電力任せの無責任さが露呈した答弁でした。

また、上関原発建設予定地の海は「奇跡の海」といわれています。希少生物の宝庫で、カンムリウミスズメなど鳥類、ナガシマツボをはじめとする貝類、スナメリが生息するなど、希少生物の生息域であることが分かっています。こうした貴重な自然環境を環境省としてどのように評価されるのか、なんとしても守ってゆかなければならない海と思うがどう考えるか、環境副大臣に質しました。

副大臣からは、貴重な環境であることは認めて頂きましたが、環境アセスメントにより対応がとれている、今後も中国電力から適宜報告を求めるなどといったこれまでと変わらない回答が繰り返されました。

このような、様々な地域や関係者を巻き込み混乱と分断を生む原子力発電利用については、その見直しを強く求めて参ります。全ての原発の速やかな運転停止、廃炉決定をめざして国会の議論をリードします。2050年は自然エネルギー100%、持続可能な環境調和社会の実現に向けて全力を尽くします。

質問の解説動画をアップしました。こちらもご覧ください。

答弁席は梶山経済産業大臣、笹川環境副大臣