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2021.02.25

グリーンなエネルギー社会へ、 原発・化石燃料依存からの脱却

小泉進次郎環境大臣にコロナ後の環境エネルギー政策を問う 

新型コロナウイルス感染症、緊急事態宣言下ではありますが、国会ではコロナ後の日本再生に向けての議論を進めています。2月25日、予算委員会第6分科会にて小泉環境大臣と環境エネルギー政策について議論いたしました。

本日のスタンスは、環境省の応援団。自然環境を保全しつつ持続可能な環境調和の社会を実現するために環境省の役割が極めて重要です。経産省主導で進むグリーン成長戦略、エネルギー基本計画改定の議論を環境省として牽制、リードしてもらいたい。原発についても、東京電力福島第一原発事故が究極の環境汚染を引き起こしていることを再確認して原発ゼロを実現してもらいたい。小泉大臣に訴えました。

経産省主導のグリーン成長戦略

政府が昨年12月に発表した「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」は経産省主導、これまでのエネルギー業界のしがらみの中から作られています。特に問題となるのは、

  1. 省エネ、需要サイドの施策が極めて不十分な点
  2. 再生可能エネルギー導入の参考値が2050年50〜60%と極めて低い
  3. 一方で原子力・CO2回収前提の火力発電の参考値は30〜40%と高いままにしている点 などです。

再生可能エネルギーの導入ポテンシャル(導入可能性)

再生可能エネルギーのポテンシャルについては、環境省は数次のレポートを出しています。最新のものをみると、我が国には電力供給量の最大2倍の再エネポテンシャルがあるとしています。こうしたポテンシャルを活かして再エネの導入を進めれば、最終エネルギー消費ベースで、2050年自然エネルギー比率80〜90%は充分に実現可能と考えています。

小泉大臣からは、日本は自然エネルギーに恵まれている国、ポテンシャルの最大活用を実現し、再エネの真の主力電源化を目指す旨の答弁を得ました。

日本でだけ進む石炭火力発電所の新設

炭火力発電は高効率のものでもLNG火力のおよそ2倍のCO2を排出します。世界が石炭火力発電所の運転を止めて廃止していこうとしているなか、日本は世界の流れに逆行して新規建設を進めています。小泉大臣のお膝元の横須賀市でも石炭火力発電所の建設が進んでいます。

新規の発電所がこれから建設され運転開始になれば、ここから数十年、2050年まで運転が継続することになります。その間のCO2の排出量は膨大で、とても受け入れることはできません。

小泉大臣からは、炭素税の導入など、ルール変更によりエネルギーの脱炭素化を実現したい旨の答弁がありました。目の前の石炭火力発電所建設をどうするのか、課題は残ります。

二酸化炭素の回収技術は使えるのか

政府は火力発電所から排出されるCO2を回収する技術(CCS、CCUS)の導入を前提に化石燃料を利用しようとしています。

しかしながら、こうした技術は開発途上であり、目標通りに完成、実用化できるか見通しは必ずしも定かではありません。日本で排出されたCO2は回収されて、船により海外の処分地まで運んで地中に戻すことになります。こうしたプロセスに経済合理性が果たしてあるのかも大きな疑問です。

また、将来回収するから今、石炭火力発電所を運転しても問題ないというのも間違いです。いったん排出されたCO2はその総量が一定量を超えると、地球温暖化に歯止めがかからなくなるリスクが高まるからです。オーバーシュートといわれるこうした状態は極力避けなければなりません。

隠される原発の不正事案、規制の形骸化

東京電力柏崎刈羽原発でのIDカードの不正使用が問題となっています。他人のIDカードを使って中央制御室まで侵入してしまった事案、いくつかのチェックポイントがありながら、それぞれ不正侵入を見逃してしまった考えられない杜撰さです。

昨年9月20日に問題が発生、9月21日に東京電力から原子力規制庁に報告があったにもかかわらず、原子力規制委員会委員長に報告が上がったのは本年1月19日というタイミングでした。原子力規制庁の対応はあまりにも遅い。恣意的に報告をせずにやり過ごした可能性も否定できません。

並行して、原子力規制委員会では東京電力が原発を運転することの「適格性」の審査がおこなわれていました。こうした審査のプロセスに忖度して、影響がでるであろう不正事案を隠したのではないか。

原発事故から10年、規制機能が形骸化してきている、原発をめぐる大問題です。今後、厳しく質してゆきます。

質問の動画はこちらからご覧頂けます(30分)。