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2021.03.01

電力価格の異常な高騰、間違った情報がエネルギー政策をゆがめる

2021年3月1日、予算委員会の一般質問に立ちました。茂木外務大臣、河野ワクチン担当大臣、梶山経産大臣に、新型コロナウイルス感染症対策、エネルギー政策について、電力市場価格高騰問題、東京電力福島第一原発への2月13日の地震の影響について質しました。

特に電力価格高騰問題については、電力需給問題にすり替えられて、厳冬による電力不足、雪による太陽光発電の発電量低下、LNG在庫の問題などが強調されています。電力自由化、脱炭素社会の実現に逆行するプロパガンダが経産省の情報発信から始まっています。

1.新型コロナウイルス感染症対策に対する外務省医務官の役割について

各国の日本大使館には医師資格を持った医務官(在外公館に108名、令和3年4月1日予定)が派遣されていますが、大使館員およびその家族の健康管理を主な任務としており、それ以上の役割を果たす体制になっていません。

現地の医療機関、医療行政機関とのパイプを持ち、専門性をバックに生きた情報収集、情報交換ができる立場にある医務官の皆さんには今回の感染症パンデミック対応の最前線でもっと活躍いただくべきではないか。ワクチン接種についても、例えば各国現地の接種方法や接種効果に関する調査、発展途上国におけるワクチン接種の支援などでも活躍の余地は大いにあります。

今後の活躍のために、感染症に関する研修の機会の創設、専門の情報ネットワークの確立、厚労省医務官との連携などの取り組みを進めるべきではないか。福利厚生室の所属となっていることが、活動の制約になっているのではないかと推測する。パンデミック対応の部門と兼務の形をとるなどして活動の幅を広げるように要望しました。

茂木大臣からはこれまでも健康管理以外の情報収集、ワクチンの関連調査など現時点でもおこなっているとのことでしたが、医療に関する知見、ネットワークを活かした活動ができるようにする旨、医務官の積極的活用について前向きな答弁がありました。

2.電力市場価格高騰問題

昨年12月から本年1月にかけて電力スポット市場における長期(約4週間)にわたる価格高騰が発生しました。当初、経産省は厳しい寒さとLNGの在庫不足による需給ひっ迫の問題であると説明していましたが、現時点では、電力スポット市場で起きた電力の売り入札不足、いわゆる玉切れにより生じた異常な価格高騰が続いたことが真の問題であったことが明確となりました。以下、今後の対応について強く要請しました。

新電力を襲う経営危機、市場の欠陥に対する適正な補正が急務

今回の事象は、市場の機能不全が原因であり、市場の売り買いにおいて不正、不適切な操作があったのかどうかはさておき、高値での売り買いでは予想外の大きな利益を得た企業と大きな損害を被った企業が発生してしまった。大きな痛手を受けた新電力への具体的な補正措置の実施が必要であり、これは単に支払を猶予する、あるいは分割払いにすると言うことではなく、損失を補填する調整が必要と考えます。

そもそも新電力(電力自由化後に参入した電力小売)の多くは、例えば再生可能エネルギーの地産地消を目指すなど、理念と志をもって事業をおこなっている。地域の企業、市民が立ち上げた会社や生協が起こした企業など、新たな主体が参入、電力システムの民主化につながる、消費者の選択の幅を広げる大切な役割を担っています。そしてそうした新電力には大きな資本力を持つところ少なく、今回のような価格高騰によるコスト増は経営危機に直結する。

このままでは3月末、4月の支払時期を迎えて倒産、廃業が多く発生することが、大いに懸念される。新電力を今回のような市場の機能不全により倒産させることはなんとしても避ける必要がある。いち早く、本来合理的と言える価格を早く算出して、補正をかける手続きを進めてもらいたい。

示されたデータは太陽光発電のみ、風力発電のデータは隠されていた

政府からは、例えば太陽光発電のみをとらえて雪の影響で発電量が低下、再エネは当てにならないといった誤った情報提供があった。再エネを語るのであれば、風力発電も同様に分析すべきで、調べて見れば量は少ないが発電量は基本的に安定しており、東北など太陽光が減少傾向にあるとき、風力発電は大いに発電していることが分かる。経産省には科学的なデータに基づいた議論を進めてもらいたい。

梶山経産大臣は、市場の問題は認めながら、複合要因を理由に、新電力への支援、補正については極めて消極的であり問題です。新電力を含む電力システム改革、電力自由化が頓挫する危機、脱炭素社会にも逆行する事態につながります。

3.東京電力福島第1原発が受けた2021年2月13日の地震の影響について

2月13日の東北地方を襲った地震では東京電力福島第1原子力発電所を震度6弱の揺れが襲い、様々な異変が発生しています。例えば、1号機、3号機の原子炉格納容器における水位低下、原因を特定することができているのか、なんらか対策をとる計画があるのか、明確な答えがありません。その他、汚染水タンクの位置ずれ、各種タンクや機器からの漏えいの発生など、多くの影響が出ています。今後も同様の地震の発生が予想されているところ、事故炉の安全確保、廃炉作業の安全の確保に最大限の対応をとることが必要です。10年を経て決して緩み、油断があってはいけないと思います。

枝野代表からも提起がありました、原子力緊急事態が継続している点、菅総理からは具体的な言及がありませんでした。大熊、双葉では住民の皆さんの帰還準備、帰還が進んでいます。こうした皆さんの安全確保はできているのか。緊急時の連絡体制、避難計画など確立できているのか地元の自治体任せにしない国が責任ある対応をとるように求めます。

梶山経産大臣は、細心の注意に基づいて確認・報告するように要請したとのこと。東電に報告漏れなど緩み、ずさんさが見られることを懸念しているとのこと。国として関与してゆく旨、答弁がありました。

質疑の動画はこちらからご覧頂けます。(26分)