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2021.05.22

激化する自然災害に負けない まちをどう創るか

横浜市戸塚区で進む製薬メーカーの研究所建設工事(写真は建設工事の様子)。2mの盛土を伴う工事に地域住民の皆さんの不安が広がっています。

 柏尾川沿いに広がる敷地は大雨のたびに雨水が溢れる土地。近年の激化する豪雨に対して、洪水のリスクがさらに高まっています。計画されている8万㎡の2mの盛土工事が進むと、地域の雨水の流れが変わり、周辺地域での洪水の発生、被害の拡大が懸念されています。

 横浜市の都市計画法に基づく審査では、敷地内に降る雨水の処理が対象とされており、敷地外周辺の雨水はあくまでも公共下水道により対処されることが想定されています。一方、東京都や川崎市などでは周辺の雨水の流れ等に対する影響までを審査対象としており、横浜市とは明らかに異なる審査基準が採用されています。本建設工事に東京都の基準を当てはめてみれば、盛土の周辺地域に与える影響を十分考慮しなければならなくなります。

 国土交通委員会では、気候変動に対処するために、豪雨に対する基準の見直しが必要であり、河川を流域一体で管理する流域治水の考え方の導入に合わせて、都市開発が周辺の雨水の動きに与える影響についても、全国統一で審査の対象に組み入れるよう指導すべきと要請しました。

 今回の案件では、建設そのものに反対しているわけではなく、水害対策として盛土ではなく、横浜市も推奨するピロティ構造をとるなど設計の工夫を要請しています。工事は進んでいますが、今一度、こうした地域の声に耳を傾けることを求めます。

質疑について解説動画はこちらから