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2023.08.30

太陽光パネルは 99 %リサイクル が可能です

営業開始された太陽光パネル

リサイクル工場

 8月30日、太陽光パネルのリサイクルについて北九州エコタウンの株式会社新菱を訪問、営業運転を始めたリサイクル工場を視察しました。

 新菱の開発した技術では、廃棄される太陽光パネルの99%をリサイクルができるとのこと。特徴は熱により、内部の構造を支える接着剤(樹脂)とプラスチックのバックパネルを分解し、アルミ、ガラス、シリコン、銀、銅などのリサイクル可能な部材と分ける技術を採用している点にあります。廃棄するパネルはそのままの形で、熱処理の炉に投入されますが、約5分で熱処理が完了、資源化できる部材が取り出され分離工程に流されます。アルミやガラス、銀などは有価物として販売することができています。取り除かれた接着剤とプラスチックは加熱するための熱源として燃やされ有効活用されます。

太陽光パネルのリサイクル制度を作る

 NEDO、北九州市の支援により、研究開発が進み、今年、営業運転が開始されました。年間9万枚のパネルを処理することができるとのこと。今後、大量廃棄が始まる2035年ころにはこうしたプラントを日本の各地に建設、地域でリサイクルする体制を作ることを目標としています。

 太陽光パネルリサイクルは現在、廃掃法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)で規定される廃棄物処理事業として取り扱われています。そのため、例えば新菱の工場は焼却炉として扱われ、建設時には環境アセスメントの対象になるなど、地域によっては事業展開が難しいことも予想されます。

 また、リサイクルに確実に廃棄パネルが回ってくるにようにするためのパネル販売時のデポジットなどの仕組みの検討が必要となります。今後、従来の廃掃法の枠組みにとらわれることなく、太陽光パネルにあったリサイクル制度の確立を提案していきます。

最新の技術を活かし環境調和の再エネ導入を進める

 大量廃棄される太陽光パネルが環境破壊につながるといった点が、太陽光発電のデメリットとして指摘されるところですが、今回の視察で、99%のリサイクルが技術的にも経済的にも可能であることが分かりました。ぜひこうした技術と共に、ゾーニングなどにより乱開発を抑えつつ、環境調和の再生可能エネルギー発電を伸ばしていきたいと思います。

熱処理の後、何段階かの分離工程を経て、ガラスや銀などの有価物が取り出されます