国の危機管理の実態を把握、課題山積。阪神淡路、新潟中越沖地震で蓄積された専門的な技術・知見はどこに?

2011年5月22日(日)

東日本大震災に対する官邸の危機管理センターの動きについてレクチャーを受ける。注目したのは震災時の情報管理。実物のシステムは見ることができず、システムの活用ルール等まとめた資料もない。(セキュリティーを理由に議員にも見せていないとのこと。チェックのしようがない。)

ヒアリングからわかった主な問題点は以下の通り。

  1. 情報の受送信は電話かFAXに限定されていたとのこと。緊急時ゆえしかたない面もあるが、電子的な情報伝達手段は動いていない。画像や動画など別なシステムはあるようですが、どこまで機能していたか不明。地図情報と画像情報の連携などは行われていない。テレビの映像程度しか情報はなかったのではないか。
  2. GIS(地図情報システム)を活用して情報を入力していたとのことであるが、GISへの情報登録のオペレターは4名のみ。官邸に届いた電話、FAXのデータを入力に追われていたとのこと。どのように地図上で参照できたのか不明。
  3. 内閣の危機管理のページから大量の情報がメールにより送信されてきた。メールによる情報発信は被災後、比較的早い段階から復旧していた。届いたメールは紙に打ち出されて、自衛隊、警察、消防等の関係機関にそのまま配布されていた。その後どのようなアクションがとられていたかは不明。
  4. 内閣府の危機管理システムは独立して動いている。自衛隊、国交省、警察、各自治体等との情報連携、システム連携は図られていない。
  5. 内閣府から発信される被災状況のレポートには地図情報は基本的にない。文字情報のみで情勢分析をすることは難しい。
  6. 阪神淡路大震災、新潟県中越沖地震等で活躍した地図を活用して情報管理を実現するチーム(EMT=Emargency Mapping Team))が今回の災害でも内閣府内に立ち上がっていた(4月22日解散している)がその存在自体を担当者が認識していない。専門家が集まってGISを使った情報管理の作業をスタートしていたにもかかわらず全く活用できていない。

私はこれまで地震防災について専門的に研究してきました。その知識を活かして、3月14日に緊急提案書をまとめて提案していましたが、結局、提案は全く活かされていなかった。

「GIS(地理情報システム)による被災情報の一元管理について」

  1. 内閣に情報管理チームを組織してGIS(地理情報システム)を活用して被災情報を一元化する。GISについては時空間データベースを活用して時系列のデータ管理を可能とする。(県境をつなぐデータ、カーナビデータとの連係が必要、統計情報研究開発センターのデータ、災害時の運用実績のある時空間データベースDIMSYSの活用が可能)
  2. 被災地域の情報を地図上に可視化し、地域トリアージ(救助、救援、復旧、復興に関する優先順位を地域ごと行政区ごとにつける作業)を実施する。
  3. ヘリコプターを有効活用して情報が十分にとれていない地域の現状把握に努める。その際、報道ヘリについても協力いただき内閣のコントロール下において活用すべき。
  4. 被災状況の把握が可能な精度の衛星画像も入手可能である。前記のGISデータベースと連携をとり活用すべきである。
  5. 報道の情報等、散在する被災関連情報を一元管理するプラットフォームをインターネット上で構築、情報の提供を報道機関に依頼する。

現在の内閣の危機管理能力は残念ながら低いと言わざるを得ない。専門家、知見のあるスタッフががいるのかどうかわからない。体制を立て直して、今回の災害対応も一からやり直さなければならない。(遅すぎるけれども)

福島原子力発電所事故対応、続く、首都直下地震、東海、東南海地震等に備えて危機管理機能の抜本的な改革を提案してゆきます。

 

脱原発で30年。山崎誠はぶれません。
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山崎誠

山崎 誠

(やまざき まこと)

衆議院議員 立憲民主党神奈川県第5区(戸塚区・瀬谷区・泉区)総支部長。

立憲民主党政務調査会副会長、エネルギー調査会事務局長。経済産業委員会、東日本大震災復興特別委員会委員。

環境・エネルギー・地方創生・社会保障政策・教育政策を中心に活動を展開。

元横浜市会議員、日揮株式会社、株式会社熊谷組勤務。

山崎誠政策研究所代表、森びとプロジェクト委員会顧問、よりそいサポートネットワーク事務局長等

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