山崎誠政策研究所通信010号(20190915)
カジノ誘致に断固反対横浜にカジノはいらない
安倍政権が進める日本でのカジノ解禁、横浜でも「白紙」としていた林文子市長が8月22日に一転カジノ誘致を進めると発表し大きな問題となっています。
横浜市会にはカジノ誘致推進のための調査費等4億円を含む補正予算が上程され審議されています。
林文子市長は横浜市の財政状況の悪化が見込まれる中でカジノの収益が必要であり、観光客を呼び込むためにもカジノは有効とカジノ誘致の必要性を訴えていますが、そうしたカジノの導入効果には甚だ疑問があります。
そもそもカジノは賭博、ばくちであり、人の負け、不幸の上に成り立つ収益で横浜市を運営しようとすること自体に大きな問題があります。
カジノの負の部分については様々指摘がありますが、以下4点をあげたいと思います。
ギャンブル依存症の拡大
まず第1に、ギャンブル依存症の問題があります。カジノは射幸心をあおる仕掛けが巧みに組み込まれており、多額のお金を賭け、一瞬にしてすってしまうばくちです。パチンコや競輪競馬と比較されますが、ギャンブル依存症になるリスクはカジノの方が遙かに高いのです。
その人の人生、家庭や仕事を破壊するギャンブル依存症、多くの犯罪の裏にギャンブル依存症があるとも言われています。日本はすでに成人人口におけるギャンブル依存症患者の割合が3.6%と極めて高い上に、カジノができあがればさらなるギャンブル依存症拡大につながります。
風紀の乱れ治安の悪化
第2に、立地周辺地域の風紀の乱れ、治安の悪化の原因となり、市民生活を脅かす危険があります。マネーロンダリング(資金洗浄)など、犯罪集団がすくう可能性も高くなります。他国のカジノの例を見ても、カジノ施設自体はきらびやかでも、その周辺には高利貸し、質屋、風俗店、簡易ホテルなどが集まり地域全体の治安の悪化が避けられません。横浜市が想定している山下埠頭にカジノ施設ができあがれば山下公園など横浜市民の憩いの場、観光名所の雰囲気が一変する可能性が高いと言えます。
負の経済効果の方が大きい
第3に、ギャンブル依存症対策、治安維持対策に膨大な費用がかかることが指摘されています。韓国の研究では韓国全体でのギャンブル産業の売上高約1兆9800億円(2014年)に対し、ソーシャルコストは、約7兆8000億円に上ると発表されており、差し引き6兆円の負の経済効果が発生しているとしています。
また、カジノを含むリゾート施設はホテルから飲食まで揃っており、施設外での消費を取り込んでしまう効果(共食い効果)があり、地域の活性化に繋がらないと指摘されています。
カジノ事業者に支配される横浜
第4に、市長が言うように横浜市の法人市民税収を上回る820〜1000億円と言われる収益がカジノから横浜市に上がることになると(カジノ事業者試算で当てにならない数字ではありますが)横浜市の運営がカジノ事業の収益に大きく依存することになると考えられます。横浜市が実質的にカジノに支配されるリスクが高いのです。また、カジノには数多くの規制がかけられることから利権の温床になることも指摘されています。
今後、カジノ施設ができあがるとその運営について自治体にも一定の責任が発生することが想定されます。カジノ施設を廃止しようとした場合に巨額の違約金を要求されたり、売上げが上がらない場合に損失補填を求められたり、今後の契約次第ではカジノ運営に係わるリスクまで横浜市民が負わなければならなくなる可能性があります。
横浜港の開発にあたっては横浜港ハーバーリゾート協会も、カジノなしの国際展示場、国際クルーズ拠点、F1イベント会場、ホテルなどを柱とした山下埠頭の「ハーバーリゾート構想」を発表しています。カジノがなくても魅力的で経済的にもメリットがある開発が可能です。
カジノ誘致断固反対の立場で今後も活動して参ります。
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