活動報告(2020/01/14)
北東アジア核不拡散国際シンポジウムに参加しました。
1月13日の第1セッションは「北東アジアにおける再処理の現状と展望」をテーマに、プリンストン大学の名誉教授であるヒッペル氏(Dr. Frank von Hippel)から世界の再処理をめぐる状況について、China Nuclear Corporation のシュウ博士(Dr. Zhu Xuhui)から中国の再処理状況について、韓国の原子力規制委員会(NSSC)の委員長であったカン博士(Dr. Jungmin Kang)から韓国の乾式再処理について、核情報の田窪雅文氏から日本の再処理状況についてそれぞれプレゼンテーションが行われ、その後ディスカッションとなりました。
冒頭短い時間でしたが、あいさつさせていただき、核をめぐる日本の現状について、合理的な政策判断ができていないこと、国際的な核不拡散の協力体制、ネットワークを構築することが重要であるとのお話をしました。
各国の再処理をめぐる政策の比較のポイントは以下の通り
○まずはヒッペル氏、なぜ成功していない再処理が止まらないかについて、各国の状況を端的にまとめていただきました。核兵器保有国、中国、インド、ロシアについては、核兵器と核エネルギー開発ががっちりと結びついており、再処理の夢を捨てることができないでいる。フランスと日本については、強力な推進勢力である官僚が自らの失敗を認めようとしない、また、地方に発生する雇用を維持したいとの思惑がはたらいているとのこと。フランスでは再処理施設を中国に売り込みたいとの意図があり、日本については核兵器保有のオプションとして再処理が維持されているのではないかとの分析。
○韓国では2007年から乾式の再処理(KAERI’s pyroprocessing)の開発が進められているが、核不拡散に対する懸念も払拭できず、環境汚染のリスクも低減できない。大変な高コストのため実用化は難しいのではないか。カン博士からは再処理に代わる乾式キャスクによる使用済み核燃料の保管の提案があり、その合理性が示されました。
○中国については、再処理についてプロトタイプ施設の試験運転が行われてきた。よりスケールアップしたデモンストレーション施設の建設中であり、2025年までに完成予定。その後、商業プラントをフランス企業と建設する予定であるが、交渉に時間がかかっており、完成の目標である2030年は遅れる見込みとのこと。(コスト、建設場所、MOXの販売先・価格など問題が多々ある)
○中国の原子力事情について、福島原発事故以降、ブレーキがかかっており年間4基程度しか新規に建設できておらず、原子力産業を維持することが難しくなっている。中国でも、原発を押し付けられる地方の反対、国民のレベルが上がり若者の間で放射能への嫌悪、懸念が広がっているなど原子力事業へに逆風が強くなってきているとのこと。日本での中国の印象と現実は違っているのではないか。
午後の第2セッションは「北朝鮮の非核化に関する主な問題とその国際的意味」をテーマにプレゼンテーションとディスカッションが行われました。北朝鮮の核施設に関する技術的な分析について話がありましたが、興味深かったのは韓国人の北朝鮮の核武装についての受け止めが一様ではない点、核のない朝鮮半島実現のためには、韓国内の核武装容認派への働きかけも必要であるとのこと、日本として対応が求められるところと考えます。
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